ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.3)

2022年09月13日

ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.3)






ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.3)

バラモン教からの仏教







宗教を考える上で

大事なことの一つに

時間軸があると思います






たとえば

「昔は…」という言葉

を聞いた時に想像するのは

何年くらい前のことを

想像しますか?



まぁもちろん

その時の話の内容や流れによって

異なるとは思いますけども・・・




私自身の経験でも

宗教的な話をしているときに

「昔は…」

と言ったときには

少なくとも50年前から数百年前のことを

意味しています




だって…

浄土真宗の歴史だけで言っても

800年の歴史があるわけで…




仏教について話せば

2600年くらいの歴史があるのです…




ですから

”宗教”について考えるときには

普段の日常生活の時間軸とは

まったく異なる長い時間の感覚で

考えなくてはなりません






ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.3)




さて

今年は2022年ですが

これは西暦ですね

キリストさん誕生の年を

西暦元年として

数えているわけです





よくよく考えると

当たり前に使っている西暦ですが

いかに

キリストさんを中心にして

世界が回っているか?

ということが理解できますね・・・






ブッダが生まれたのは

紀元前5世紀から7世紀と

言われているので

キリストさんよりも

500年以上も前に

生まれたことになります
(正確な生没年は不明・・・)





そして

ブッダが生まれた時には

すでにインドに根付いている”宗教”

がありました




それが”バラモン教”

と言われる宗教です

現在のインドのヒンドゥー教の

元になっている宗教です




現在も

ヒンドゥー教に継承されている

階級制度(カースト)は

このバラモン教からのものです




バラモン(司祭階級)
クシャトリヤ(王族・貴族・戦士階級)
バイシャ(庶民階級)
シュードラ(奴隷階級)
その下に
不可触賎民と言われる階級があります



これらの階級は

過去世の行い(業:カルマ)

によって決まり

現世(生きている間)において

階級を変えることはできず

また

現世の行いによって

来世が決定されるというものです




さらには

地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天

を生まれ変わり死に変わる

輪廻転生(りんねてんしょう)

という死生観も

バラモン教からのものです




それが当たり前の国・時代に

ブッダは生まれたのです

ちなみにブッダは

釈迦族の王子として生まれたと

言われていますから

身分的にはクシャトリヤでした




興味深いのは
バラモンは頭から生まれ
クシャトリヤは脇から生まれ
バイシャは腹から生まれ
シュードラは足の下から生まれる
というものです




生まれながらに

人間が差別されることが

当たり前の国・時代に

ブッダは生まれたのです






私は過去に二度
インドを訪ねました
ブッダのいた北部の方だけですが
カースト(階級制度)は
今でも当たり前のこととして
あることに驚きました
日本では昨今
“親ガチャ”とか言っていますが
それどころではありません・・・
そう言いたくなる若者の気持ちは
理解しますけれども・・・
世界をもっと見てごらん!
と言いたくなってしまいます…




だからブッダは

命の平等を訴え

命の尊厳を重視し

どんな境遇に生まれようとも

階級によって

差別されることを否定し

どんな境遇に生まれようとも

現世の行い(行為)によって

今、この人生が救われていく

ことを説いたのです






ブッダは誕生してすぐに七歩歩いた

そして天と地を指差し

『天上天下唯我独尊』と言われた

と伝えられます・・・

(それが真実かどうかはさておき…)




七歩は輪廻転生の六道
(地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天)

を超える道(教え)を意味し

『天上天下唯我独尊』は

どんな命も差別なく尊い

ということを第一にするのが

ブッダの教え(仏教)である

ということを意味しているのです













なんか・・・

説教臭くなってしまいましたね・・・






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住職紹介

前田健雄(まえだたけお)
真宗大谷派一心寺住職。

1977年名古屋市生まれ。
大谷大学大学院文学研究科仏教学専攻修士課程修了。
真宗大谷派ハワイ開教使として5年間ハワイに赴任。
NPO法人ほがらか絵本畑の理事。
名古屋刑務所篤志面接委員

前田健雄