ヘンなはなし(宗教リテラシーVol.11)

2023年05月22日

ヘンなはなし(宗教リテラシーVol.11)


「諦める」



今までの人生で諦めたこと
どんな事がありますか?

その諦めたことを
今でも後悔していますか?

「諦める」という言葉を
「途中でやめた」というような
ネガティブな意味で
考えてしまいますが
本来の「諦める」とは
そういう意味ではないのです

「諦」(satya)とは
仏教では「真理」「真実」「悟り」
を表す言葉で
「あきらかにする」
「あきらかに見る」
という意味です

ヘンなはなし(宗教リテラシーVol.11)


過去に諦めたこと何か一つ
思い出してみてください
なぜそれを諦めたのか?
当時の自分を思い出してみてください

今から思えば
「なぜ続けなかったのだろう?」
「続けておくべきだった…」
「間違いだった…」
と思うかもしれませんが
それは今の自分だから
そう思えるのであって
当時の自分には
やめざるを得ない
いろんな理由があったのだと思います
それを続ける事が
あまりに困難だったのだと思います
だから当時の自分の決断として
「諦めた」のだと思います

もしもあなたが後悔しているのなら
当時の自分を認めてあげてください


「諦める」は「断念する」
という意味でも使われますが
「念を断つ」と書くように
自分を見つめた結果
それを継続するべきではないと判断して
「念(思い)を断たれた」のでは
ないでしょうか

自分の気持ちや本音と向き合い
周囲の意見や状況を鑑みて
と・・・
いろいろと思い巡らして
考えたことでしょう
それが「諦」
「あきらかにする」
「あきらかに見る」
ということなのです


その時の自分がいたから
今日の自分が今ここにいる

「あの時ああしておけば…」
と後になってから思うものですが
当時の自分は
その時の自分として
精一杯考えて決断したのだ
と自分を認めてあげてください


後悔を引きずっていると
今日の今のことも
未来に後悔することになるかもしれませんよ

私たちは
一瞬、一瞬
その時、その時しか
実は生きていないのですから


過去は過去として
未来は未来として
今(今日)を生きましょう








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【2024年】

住職紹介

前田健雄(まえだたけお)
真宗大谷派一心寺住職。

1977年名古屋市生まれ。
大谷大学大学院文学研究科仏教学専攻修士課程修了。
真宗大谷派ハワイ開教使として5年間ハワイに赴任。
NPO法人ほがらか絵本畑の理事。
名古屋刑務所篤志面接委員

前田健雄