ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.4)

2022年09月20日

ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.4)



ヘンなはなし(宗教リテラシーVol.4)

インド・出家者・宗教






ブッダが生まれた当時

インドにはたくさんの宗教者が

いたようです




ブッダがまだ王城に住んでいた頃

あるとき東の門からお城を出たら

老人を見かけて「老い」を知った

南の門から出たら

病人に出会って「病」を知った

西門から出たら

「死者」に出会って「死」を知った

そして北門から出たときに

「出家者(修行僧)」に出会って

その清々しく美しい姿に驚いた




「生老病死」を憂い悩むのが

人間の世の常であることを知り

出家者に出会ったことで

「生老病死」から解放される道が

あることを知り

自分も出家したいと願う心が生じた

という話があります





そして長男が誕生した途端に

家族、部族、王子という立場も

城も財産もすべてを捨てて

出家したのです





ブッダはすぐに

当時有名だった有名な指導者(宗教者)

のもとで修行したそうですが・・・

指導者から教えられることを

すぐに習得してしまい

次から次へと新たな指導者を訪ねた

そうなのです




結果的には最後は一人で

菩提樹の下で瞑想をして

悟りに至るのですが・・・

当時インドには宗教者がたくさんいて

有名な指導者の下には

たくさんの弟子がいたようです














ヘンなはなし (宗教リテラシーVol.4)





インドの出家者の興味深いところは

神を信じ・・・

絶対的な神と人間の関係の上で・・・

といった

まさに”宗教”というものよりむしろ

一人一人が自己を見つめる

“哲学”的な視点が強かったことです




その理由はなぜか・・・?

これは私の勝手な想像ですが・・・

バラモン教は

身分の階級制度がありますから

誰もが自由に修行できる状況では

なかったのかもしれませんし…

「生・老・病・死」という個人的問題は

バラモン教では解決してくれなかった

のかもしれません・・・






現代でも

現実の問題の根源(理由)を

自分の”外側”に置く

そういう“宗教”が多いと思いますが・・・

仏教では

苦しみ、悩み、憂い、欲望

から解放される道は

自分の内側にあって

外に求めても解放(救済)されない

というのがブッダの悟りであり

教えなのです



だから仏教では
絶対的な神を立てないのです
◯◯仏も◯◯如来も◯◯菩薩も
みんなブッダ亡き後に
ブッダの教えを
わかりやすく伝えるために
伝承されてきた”方便”であり
絶対的な”神”と同一ではありません





仏教はとても哲学的な要素が強く

一人一人が自己を見つめ

自分の内側に答えをさがしていく

という”宗教”であり

その思想が今日の仏教まで

繋がっています

だから時として

「仏教の話は難しい」

と思われるかもしれませんが

自己の内側を見つめていくことが

習慣になると

仏教ほど単純でシンプルで

矛盾なくわかりやすい教えは

他にないのでは…?

と思います






ちょっと話は逸れますが

インドといえば・・・

2桁×2桁の暗算ができるとか…

ゼロ(0)の概念は

インドから始まったとか…

”ラマヌジャン”という

天才的な数学者も

知られていますね…

そういう土地柄というか

文明や文化、思想の背景が

遺伝的にずーっと昔から

あったのかもしれませんね・・・







読んでいただき

ありがとうございました

バックナンバー

【2024年】

住職紹介

前田健雄(まえだたけお)
真宗大谷派一心寺住職。

1977年名古屋市生まれ。
大谷大学大学院文学研究科仏教学専攻修士課程修了。
真宗大谷派ハワイ開教使として5年間ハワイに赴任。
NPO法人ほがらか絵本畑の理事。
名古屋刑務所篤志面接委員

前田健雄